インプラント2本でブリッジ治療!費用やメリット・デメリットを解説
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「連続する3本の歯を失った方」には、インプラントを2本入れてブリッジにする治療方法があります。ただし、インプラントを3本入れるよりも費用を抑えられる一方で、インプラント体(顎骨に埋め込む土台)には大きな負担がかかるなどの欠点もあります。
インプラント2本のブリッジは、「費用を抑えられるから」という単純な理由で選ぶのではなく、将来のメンテナンスなども見据えて慎重に判断することが大切です。
インプラント2本でブリッジにする費用やメリット・デメリットについて、3本すべてインプラントまたはブリッジにした場合との比較なども交えつつ、詳しく解説します。
この記事の監修医師

小池 陵馬 歯科医師
- 監修
広島大学歯学部卒業。日本顎咬合学会の認定医であり、日本成人矯正歯科学会・日本矯正歯科学会に所属しています。岡崎エルエル歯科・矯正歯科にて副院長の経験を経て、現在は医療法人清翔会理事長として14つの医院を経営しています。
インプラント2本で行うブリッジ治療とは?


一般的なブリッジは、失った歯の「両隣にある自分の歯」を土台にして、人工歯を取り付ける治療方法です。
たとえば自分の歯が「1番・2番・3番」と並んでいるうち、真ん中の「2番」を失ったとします。「1番・3番」の歯を削り「1〜3番」にまたがるように人工歯を被せるのがブリッジです。
今回のテーマ「インプラント2本で行うブリッジ」は、1〜3番すべてを失った場合に、1番と3番をインプラントにして土台として、1〜3番にかけて人工歯を被せる治療方法です。
一般的なブリッジのように天然歯を削る必要がなく、治療の流れも、三連の人工歯を製作して被せる点以外は通常のインプラント治療と大きく変わりません。
なおインプラント治療については、以下の記事でも詳しく説明しています。
インプラント2本ブリッジのメリット
2本のインプラントで3本の歯を作れる
インプラント2本でブリッジにするメリットの一つは、3本ともインプラントを入れる場合と比べて、外科手術による身体的な負担を減らせる点です。また、3本すべてをブリッジにした場合と比べて、安定した噛み心地が得られます。
3本全てをインプラントにするより費用を抑えられる
3本ともインプラントにするよりも、2本のインプラントでブリッジにしたほうが費用を抑えられます。その費用で、人工歯の見た目をよい素材にしたり、耐久性が高い素材にしたりすることも可能です。
※インプラント治療もブリッジ治療も、公的医療保険が適用されるケース・されないケースがあります。
通常のブリッジに比べて他の歯への負担が少ない(残存歯を削らない)
通常のブリッジは、失った歯の両隣にある自分の歯を(たとえ健康な歯でも)削る必要があります。その点、インプラント2本のブリッジなら自分の歯を削らずに済みます。
たとえば、自分の歯が「1番・2番・3番・4番・5番」と並んでいて、2〜4番を失った場合、ブリッジにすると1番・5番を削ることになります。しかしインプラント2本でブリッジにすれば、1番・5番を削らずに済みます。
インプラント2本ブリッジのデメリット
通常のブリッジ治療より費用が高くなる
インプラント2本のブリッジは、ブリッジのみで治療した場合に比べると費用が高くなります。そのため「部分入れ歯以外で、もっとも費用を抑えられる治療」を探している方には費用面がデメリットになるでしょう。
3本インプラントより手入れが難しい
インプラント2本でブリッジにした場合、日々のケアをより丁寧にする必要があります。
3本ともインプラントの場合それぞれ独立しているので、歯間などの掃除もしやすいでしょう。一方ブリッジは歯間がない(3歯が連結している)ので、歯間の掃除が不要になる点はメリットかもしれません。
しかし、インプラント体を埋め込んでいない真ん中の歯は、歯茎に乗っているだけです。そのため「真ん中の歯と歯茎には、わずかな隙間がある」状態で、ここに汚れが溜まります。
歯ブラシは届かないため、歯間ブラシやフロスを使った入念なケアが必要になります。丁寧な歯磨き・歯間のケアが苦手な方はデメリットに感じるでしょう。
3本インプラントより負担がかかる
インプラント2本でブリッジにした場合、その2本のインプラント体(顎骨に埋め込んだ土台)に大きな負担がかかります。
たとえば「1番・2番・3番」と歯があるうち、1番・3番がインプラントで2番は人工歯のみというブリッジの場合、2番にかかる力を1番・3番で支えることになります。
歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりが強い方および、硬いものをよく食べる方などはインプラント体や人工歯の寿命が短くなるおそれがあります。
歯茎や顎骨が長期間ダメージを受けると、インプラント周囲炎やインプラント体のグラつき、脱落などのリスクもあるため、定期メンテナンスは必ず受けましょう。
インプラント3本、インプラント2本ブリッジ、従来のブリッジを比較


※耐久性はあくまで目安です。使用方法、メンテナンスなどによっては長くも短くもなります。
また費用は、公的医療保険が適用されないケースを想定しています。
残存歯への影響
インプラント治療では他の歯を削る必要がないため、3本インプラントにしても、2本インプラントでブリッジにしても、残っている自分の歯に影響はありません。
一方、ブリッジはたとえ健康であっても自分の歯を削る必要があるため、削った歯が将来的に弱くなるなどのリスクが考えられます。
固定方法・耐久性
3本ともインプラントにした場合、人工歯は顎骨に結合したそれぞれのインプラント体が支えるため、しっかりした安定感が得られます。そのぶん耐久性も高く、正しくメンテナンスをすれば10〜15年ほど使えるといわれています。
2本だけインプラントにした場合、真ん中の人工歯にかかる力は、両隣のインプラント体が支えます。そのためインプラント体および人工歯の耐久性は、3本ともインプラントにした場合に比べて劣ると考えてよいでしょう。
3本ともブリッジにした場合、人工歯を支えるのは根っこがある自分の歯なので、安定感はあります。ただし人工歯は3本とも歯茎に乗っている状態なので、強い力が加わると折れたり割れたりすることがあります。ブリッジの寿命は7〜8年とされていますが、さらに短くなる可能性もあります。
見た目
自由診療のインプラントやブリッジは、自然な見た目(ツヤ・色合い)の素材が選べます。一方、公的医療保険の適用範囲内で行うブリッジは、銀歯やレジン(プラスチック)などに限られます。
※公的医療保険が適用される「保険診療」と、適用されない「自由診療」の併用は原則として認められていません。保険診療に該当する治療であっても、人工歯に自由診療の素材を選んだ場合、その治療全体が自由診療となります。詳しくは厚生労働省「保険診療と保険外診療の併用について」もご覧ください。
費用
費用は、高い順に「3本ともインプラント」「インプラント2本でブリッジ」「ブリッジのみ」となります。インプラント治療を含むかどうか、およびインプラント体の本数によって費用が大きく変わります。
インプラント2本ブリッジの費用相場


※全国から無作為に抽出した歯科医院の公式ホームページ上で確認できた費用をもとに
インプラントネットプラス編集部が作成
自由診療の料金は歯科医院が自由に設定できます。インプラントネットプラス編集部が調査したところ、インプラント2本でブリッジにした場合の金額幅は620,000〜1,040,000円、平均:838,000円でした。
人工歯の素材や外科手術の回数、骨造成手術の有無などでも変わりますが、約800,000〜1,000,000円を目安に考えるとよいでしょう。
一般的に、インプラント1本あたり約300,000〜500,000円程度、ブリッジ1歯あたり約50,000〜150,000円程度といわれています(いずれも自由診療を想定)。
しかし「インプラント2本でブリッジ」にする場合、インプラント治療とブリッジ治療が組み合わされているため、費用の考え方が歯科医院ごとに異なる可能性があります。治療を契約する前に、カウンセリングなどの段階でよく確認しておくことをおすすめします。
費用をなるべく抑えるには?
複数のクリニックで比較検討する
「安さ」だけで歯科医院を選ぶことはおすすめしません。しかし、自由診療の料金は歯科医院が自由に決められるため、金額が適正かどうかは比較しないと分からないこともあります。
複数比較してみると「A院とB院の治療内容はほとんど変わらないのに、料金には100,000円の差がある」などが見えてくるかもしれません。
とはいえ、インプラント2本でブリッジにする費用をホームページに掲載している歯科医院は少ないでしょう。ホームページを見ても分からない場合は無料相談やカウンセリングを予約して直接聞くか、メールで問い合わせしてみるのがよいでしょう。
忙しくて複数の歯科医院に行く時間がない、近くに複数の歯科医院がないという方は、次に紹介するような方法で費用を抑えることも検討しましょう。
医療ローン(分割払い)を利用する
高額な治療を取り扱っている歯科医院では、医療ローンや分割払いを利用できる場合があります。手数料や金利などが加わるためトータルの費用は高くなりますが、月々の負担は抑えられます。
無料相談やカウンセリングを予約する際、歯科医院のホームページで医療ローンや分割払いが可能かどうかも確認しておくとよいでしょう。
医療費控除を利用する
自由診療のインプラントやブリッジも、治療目的であれば医療費控除(※)の対象になります。インプラント2本でブリッジにする費用そのものが安くなるわけではありませんが、所得税控除という形で還元されます。
※同年1〜12月に支払った医療費が一定額を超えたとき、確定申告をすることで翌年の所得控除が受けられる制度です。10万円(総所得200万円未満の方なら所得合計の5%)を元に計算します。要件等は国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」もご覧ください。
まとめ


インプラント2本でブリッジにする治療方法は、インプラントを3本入れるよりも費用を抑えられるメリットがあります。一方でインプラント体にかかる負担が大きく、将来的にインプラント周囲炎になるリスクも高くなります。
「インプラントを3本入れるよりも安いから」など、費用面だけで選ぶことはおすすめしません。自分にとって本当によい選択をするためにも、歯科医院で話を聞いてからじっくり検討しましょう。
以下のリンクから、全国のインプラント治療が受けられる歯科医院をエリアや駅ごとに探せます。