インプラント治療が絶対ダメと言われるのはなぜ?それでも選ばれる4つの理由

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インプラント治療は絶対ダメではありません。実際高齢者の方を含めでインプラント治療を受ける方は増えています。

しかし妊娠中や基礎疾患などで禁忌に該当し、絶対ダメと言われる方もいます。また「高齢になるとメンテナンスが大変」「費用が高額」「再治療が難しい」などの理由で自分には合わない・やめようと考える方もいます。

本記事では、インプラント治療のデメリットやリスクだけでなくメリットも詳しく解説します。自分にとってより良い選択をするため、判断材料のひとつとして役立ててください。

この記事の監修医師

梅山 遼 歯科医師

梅山 遼 歯科医師

  • 監修

京都大学医学部附属病院歯科口腔外科、独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター麻酔科、東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科、順天堂大学医学部附属順天堂医院歯科口腔外科医局長を経て、現在は、DELTA CLINIC虎ノ門 歯科口腔外科・矯正歯科にて歯科医師として勤務しています。

インプラント治療が絶対ダメと言われる4つの主な理由

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禁忌に該当するケースを除き、インプラント治療が「絶対ダメ」となる根拠はありません。しかしインプラント治療のデメリットやリスクを鑑みたとき、自分には絶対ダメだと感じる方もいるでしょう。インプラントのデメリットやリスクとは何なのか、まとめたので参考にしてください。

高額な費用

インプラント治療は「先天性の疾患や腫瘍により、顎骨を連続して1/3以上失っている」など一部のケースを除き、公的医療保険が適用されません。

インプラント治療の費用相場は1本300,000〜500,000円程度とされており、インプラント体の素材や上部構造(人工歯)の素材によってはさらに高額になることがあります。また複数本のインプラントを入れる場合は、1,000,000円を超えるケースも珍しくありません。

公的医療保険が適用されない症例の場合、治療費は全額自己負担となります。そこまでの費用を払う必要性・価値を見いだせない方は、ダメ(やらないほうがよい)と感じることがあります。医師とよく相談しその他の治療法と比較したメリット、デメリットについてよく理解した上での判断が望ましいです。

手術が必要

インプラント治療は外科手術を伴います。「インプラント体を埋め込む手術」と、必要な場合は「インプラント体の頭出しの手術」があるほか、骨量が足りない・骨が薄い方は「骨を増やすための手術」が必要な場合もあります。

禁忌に該当しなくても、外科手術のリスクそのもの(痛み・治療期間の長さ・感染症など)に対して不安がある方や、否定的な方はダメだと感じるかもしれません。

なお以下の記事ではインプラント治療の流れと、外科手術の具体的な内容および期間の目安についてまとめているので、参考にしてみてください。

再治療が難しい

インプラントを入れた部位の再治療が必要になった場合、身体的負担や経済的負担が大きくなるおそれがあります。インプラントを除去して患部を治療をしたのち、再度インプラントを埋入するなど、治療が大掛かりになることがあるためです。

再治療になる原因として、メンテナンス不足やインプラント周囲炎、骨量の減少などが挙げられます。また高齢になり「メンテナンスに通えない」「歯茎が痩せてインプラントが脱落した」などで再治療が必要になった場合、再度インプラントを入れるには身体的負担が大きくなります。

メンテナンスに通い続けられるか不安、インプラント周囲炎を予防できるか不安という方は、将来的な再治療の難しさも鑑みて絶対にダメだと考えてもおかしくはないでしょう。

治療期間が長い

インプラント治療の期間は一般的に3か月〜1年ほどです。本数が多い場合や、骨造成手術が必要な場合などは1年を超えることもあります。

仕事や家庭で忙しく歯科医院へコンスタントに通えない方や、転勤・引っ越しなどライフスタイルが変化する可能性がある方などは、自分にはダメ(不向き)だと感じるかもしれません。

また人工歯装着後もメンテナンスが必要なため、インプラントを入れている間は定期的に歯科医院に通うことになります。メンテナンスは、インプラント周囲炎を防いだりインプラントの劣化による脱落を防いだりするためにも重要です。

仕事や家庭の事情で定期的な通院が難しい方だけでなく、数年先まで定期的に歯科医院を受診するのが面倒だと思う方も、自分にはダメだと感じるかもしれません。

それでもインプラントが選ばれる4つの理由

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上記は、厚生労働省「歯科疾患実態調査」をもとに、インプラントネットプラス編集部が作成した表です。補綴物(入れ歯やブリッジなども含む)を装着している方のうち、インプラントを装着している方の割合を示しています。

調査期間が6年空いているため、平成28年の数字がそのままスライドしていることも考えられますが、総合的にインプラント治療を受けた方が増えていると言ってよいでしょう。

インプラントは絶対ダメと考える方がいる一方、なぜインプラント治療が選ばれているのか?その理由を掘り下げていきます。

自然な見た目と機能性

インプラント体に装着する人工歯は、素材や色合いが豊富なので自分の好みに合わせて作ることができます。公的医療保険で作る入れ歯やブリッジに比べて天然歯に近く、笑ったときなども自然な見た目に仕上がることから、審美面を重視する方は特にメリットを感じるでしょう。

またインプラント体が顎骨と結合することにより、入れ歯やブリッジに比べて安定感が生まれます。入れ歯だと浮いているように感じることもありますが、インプラントはそれらに比べると違和感が少ないとされています。またブリッジと比較して隣の歯を削る必要がないのもメリットです。

そのほか、顎骨がダイレクトに振動を受け取るため、自分の歯で噛んでいるような感覚が得られやすい点もメリットです。

耐久性が高い

インプラントの寿命は10〜15年程度と言われています。費用は高いですが、その分、入れ歯(4〜5年程度)やブリッジ(7〜8年程度)に比べて長く使える可能性が高いでしょう。

とはいえ、定期メンテナンスを欠かすと劣化が早まるおそれがあります。インプラント周囲炎を予防するためのケアを怠らないことも大切です。日常的には、硬い食べ物を控えるようにする、歯ぎしりがある方はナイトガード(マウスピース)を装着するなどの工夫も取り入れるとよいでしょう。

インプラント治療後の定期メンテナンスの重要性や、日常生活で気をつけることなどは、歯科医師から詳しく説明があるはずです。少しでも良い状態で長く使うためにも、必ず守るようにしましょう。

残存歯を削らない

インプラント治療は、今残っている自分の健康な歯を削らずに済む治療方法です。

たとえば、部分入れ歯は金属製のバネやフックをかけて固定することがあるため、健康な歯に負担がかかる可能性があります。ブリッジにいたっては、両隣の健康な歯を削って支えとするため、歯を削るダメージと支えることによる負担の両方がかかります。

インプラント治療の場合は、顎骨に埋入したインプラント体の上に人工歯を装着するだけなので、残っている健康な歯がダメージを受けずに済みます。

QOLや美意識の向上

インプラント治療後は、「食べたいものが食べられる」「人前で堂々と話したり笑ったりできる」などの体験を通じ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が向上するでしょう。

うまく噛めずに食べものが制限されると、栄養バランスが崩れ全身の健康に影響を及ぼすことがあります。インプラント治療で食生活を改善できれば、健康的な生活を送る上での大きなメリットとなるでしょう。

また、歯がキレイになることで美意識が向上する方や、よい状態を保つためのケア意識が向上する方もいるでしょう。これまで以上に見た目やケアに気を使えるようになれば、結果として口腔内および、全身の健康にもよい影響が生まれるかもしれません。

インプラント治療メリット、デメリット比較表

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インプラント治療を受けた方が増えたという調査結果を紹介しましたが、デメリットやリスクもあるため「自分には向かない」「よい状態に保つ自信がない」と感じる方もいるでしょう。再治療が難しい点も踏まえ、将来的なことも含めてよく検討することが大切です。

インプラント治療のリスクを最小限にするために

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インプラント治療のメリットだけを見て、安易に選択することはおすすめできません。たとえばメンテナンスに通うのが難しくなったとき、「やっぱり入れ歯やブリッジにしておけばよかった」と思っても再治療が難しいなど、デメリットやリスクもあるからです。

自分にとってより良い選択は何なのか、インプラント治療のデメリットやリスクを抑えるにはどのような考え方をすればよいのか、まとめたので参考にしてください。

事前に複数の歯科医院で相談する

通える距離に、インプラント治療の無料相談を受け付けている歯科医院が複数あれば、ぜひ巡って治療方針や費用を聞いて比較しましょう。後悔するリスクを防ぐためにも、治療方針や費用に納得した上で治療を受けることが大切です。

歯科医師によって考え方は様々です。Aという歯科医師はインプラント推奨派で、Bという歯科医師は自分の歯をできるだけ残す治療方針かもしれません。1回法・2回法などインプラントの治療方法や費用、設備も歯科医院によって異なります。

後悔しないためにも、複数の歯科医院で相談することをおすすめします。

信頼できる歯科医院を選ぶ

インプラント治療は外科手術を伴うため、信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。信頼の基準は人によって異なりますが「親身に話を聞いてくれる」「デメリットやリスクを丁寧に教えてくれる」「歯科医師の考えを押し付けない」などをベースにしましょう。

また治療の話が進む中で「複数の治療方法を提案して(選択肢を与えて)くれる」「治療方針が明確で納得できる」「費用をはっきり出してくれる」などもポイントになります。

実績数ばかりを大々的に広告し、具体的な症例や治療内容が一切分からない歯科医院だったときは、治療を受けるかどうか慎重に判断しましょう。

治療後のケアをしっかり行う

インプラント治療後のリスク「インプラント周囲炎」を防ぐには、定期メンテナンスと日々の丁寧なケアが欠かせません。口腔内が不衛生な状態が続くと、歯周病菌が増殖して炎症を起こします。

進行するとインプラント体がグラついたり、脱落したりするおそれがあるほか、治療のために歯茎の切開が必要になることもあります。炎症が広がれば、周囲の健康な歯もダメージを受けてしまうでしょう。

身体的負担が大きい上に、そもそもインプラント治療は再治療が難しいことから、経済的負担も大きくなる可能性があります。

インプラント周囲炎のリスクを減らすには、定期メンテナンスと日々のケアを怠らないこと、喫煙を控えるなどの注意点をしっかり守ることを心がけましょう。

まとめ

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インプラント治療は、禁忌に該当する方を除き「絶対ダメ」ということはありません。しかし治療後もずっとメンテナンスに通う必要があることや、老後に丁寧なケアが難しくなる可能性があることなどを考えると、自分には不向きだと感じる方もいるでしょう。

インプラント治療には多くの利点がある一方、自由診療では高額になる上、外科手術も伴います。また再治療が難しいなどの欠点もあります。インプラント治療が本当に自分にとってよい選択肢なのか、時間をかけてじっくり考えることをおすすめします。

以下のリンクから、全国のインプラント治療に対応している歯科医院を探すことができます。無料相談やセカンドオピニオンなどに対応している歯科医院も掲載しているので、ぜひ自分に合う歯科医院選びに役立ててください。

インプラントネットプラス編集部

この記事の執筆者

インプラントネットプラス編集部

インプラントネットプラス編集部は、メディカルネットが運営するインプラントに特化した情報サイト「インプラントネットプラス」で日々配信を行っています。

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