インプラントを前歯に入れると10年後どうなる?寿命や長持ちさせるポイントを詳しく解説

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歯がない方や歯を失った方の歯科治療のひとつであるインプラント。インプラントは一度治療をしたら永久的に持つものではなく、経年劣化します。
そこで今回は、インプラントを前歯に入れた場合に10年後どうなるのかについて、長持ちさせる方法やポイント、寿命が来た際の対処法をご紹介します。

この記事の監修医師

藤澤 將人 歯科医師

藤澤 將人 歯科医師

  • 監修

日本歯科大学歯学部卒業後、同大学附属病院の矯正歯科にて勤務していました。現在は矯正治療を軸として、予防中心の治療を行う「目白ヶ丘デンタルクリニック・矯正歯科」を開業し、院長をつとめています。

前歯のインプラントの10年生存率は90%以上

前歯のインプラントの10年生存率は90%以上の画像 前歯のインプラントの10年生存率は90%以上の画像

インプラントを前歯に入れた場合、10年以上持つ確率は90%を超えるという統計結果が出ています。とはいえ、あくまで平均年数であり、使用状況によって早く劣化することもあれば、長持ちすることもあります。
ここでは、前歯のインプラントの寿命について詳しくご紹介します。

保証期間は約10年

インプラントは、歯科医院やメーカーにより異なりますが、多くのケースで保証が付帯しています。前歯のインプラントの場合、保証期間は10年が一般的です。

前歯のインプラントは、他の歯と比べて劣化しやすい傾向にあります。しかし、研究や開発が進められた結果、現在では10年以上という長期間にわたって持つようになりました。万が一トラブルが起きた場合でも、保証の期間内であれば無料交換が可能です。ただし、故意に破損したり紛失したりした場合は、保証期間内であっても無料交換はできません。

メンテナンスで20年以上持つ場合も

10年という寿命はあくまで目安であり、丁寧に扱うと20年以上持つケースもあります。特に、歯科医院で推奨される定期メンテナンスを受けることで、インプラントの持ちが良くなります。

もちろん、自分で日々のケアをすることも長持ちの秘訣です。しかし、年2〜4回ほど実施される定期メンテナンスでは、歯科医師や歯科衛生士だからこそできる高度なチェックとお手入れをしてもらえるため、より長持ちしやすくなります。インプラントを長持ちさせるためにも、歯科医院の定期メンテナンスを受けましょう。

前歯のインプラント治療が難しい理由

前歯のインプラント治療が難しい理由の画像 前歯のインプラント治療が難しい理由の画像

インプラントは、1本からでも治療できてどこの歯にも対応できる点が特徴ですが、なかでも前歯のインプラント治療は難しいとされています。
以下では、前歯のインプラント治療が難しい理由を解説します。

前歯の上顎の骨の厚みが薄いため

前歯のインプラント治療は、上顎・下顎ともに骨の厚みが薄く、インプラントを埋め込みにくいことが理由の一つです。
骨の厚みは部位によって異なります。奥歯は厚く、前歯にいくほど薄くなっています。また、歯並びが不揃いだとより骨が薄くなる傾向もあります。

インプラント治療には骨の厚みが一定以上必要になります。人によっては前歯部分の骨の厚みが足りず、骨を作ったり人工的に生み出してからインプラント治療をしなければなりません。

頬側の歯茎が痩せやすいため

前歯の歯茎は痩せやすいという特徴も、前歯のインプラントが難しいとされる理由です。
歯茎は加齢とともに痩せていきます。上顎の厚みが十分にあったとしても、歯茎の状態が悪いとインプラントを埋め込むことが難しいケースもあります。
歯茎が痩せている場合、歯茎を再生させる治療をした後にインプラントをすることも可能ですが、高度な技術が必要です。

前歯のインプラントが10年持たない原因

前歯のインプラントが10年持たない原因の画像 前歯のインプラントが10年持たない原因の画像

上記の通り、前歯のインプラントの平均寿命は10年以上です。しかし、以下の原因で10年持たないこともあります。

  • インプラント周囲炎
  • 喫煙
  • 歯ぎしりや食いしばり
  • 他の歯のトラブル
  • 歯科医師の技術

それぞれについて詳しく解説していきます。

インプラント周囲炎

インプラントの周囲が天然歯でいう歯周病の状態(インプラント周囲炎)になると、インプラントは長持ちしません。
インプラントは虫歯にはならないものの、歯周病のリスクはあります。そのため、日頃から適切にケアしていないと、細菌感染して周囲炎になる恐れがあります。

インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲の骨が溶けてインプラントがダメになってしまう病気ですので、注意が必要です。早い段階であればインプラント周囲炎の進行を遅らせることができるため、異変を感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。

喫煙

喫煙もインプラントをダメにする原因のひとつです。タバコは歯肉や骨の血流を悪くします。そのため、非喫煙者に比べて2〜6倍の歯周病感染リスクがあるとされています。治療をしてもなかなか改善しないケースも珍しくありません。

このように、喫煙は身体に悪いだけではなくインプラントにも悪影響を及ぼします。インプラント治療をしようと決めたら禁煙しましょう。

歯ぎしりや食いしばり

無意識に歯ぎしりや食いしばりをする癖がある人も注意が必要です。
歯ぎしりや食いしばりをすると、顎や骨やインプラント本体に負担がかかります。インプラントは顎の骨に埋め込まれているため、インプラントにも多くの負担がかかっています。

インプラントが割れたり欠けたりすることがあるため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は改善が必要です。

他の歯のトラブル

他の歯のトラブルがインプラントに悪影響を及ぼすこともあります。
例えば、他の歯の状態が悪く、噛み合わせに影響が出るとインプラントにも負担がかかります。「インプラント自体は問題ない」と、他の歯の状態が悪いにも関わらず放置することはNGです。

他の歯や口腔内に違和感を感じたら、早めに受診して適切な治療を受けましょう。
また、噛み合わせの悪さはインプラントに関わらず、口全体に悪影響を及ぼします。噛み合わせの悪化を含め、口腔内全体の定期的なメンテナンスが大切です。

歯科医師の技術

インプラントを長持ちさせるためには、治療経験が豊富な歯科医師を選びましょう。症例写真や口コミなどから信頼できる歯科医師を探しましょう。
また、納得いく説明を受けてから施術をすることも大切です。不安や疑問がある場合は、遠慮せず質問しましょう。少しでも疑問や不安を感じたら、いくつかの医院でセカンドオピニオンを受けることもおすすめです。

前歯のインプラントが経年劣化した症状とは

前歯のインプラントが経年劣化した症状とはの画像 前歯のインプラントが経年劣化した症状とはの画像

前歯のインプラントが経年劣化した場合、いくつかの症状が見られます。以下のような症状に気づいたらすぐに歯科医院に受診しましょう。

  • インプラントの緩み
  • 周囲の腫れや出血
  • インプラントの変色
  • 噛み合わせの変化 など

歯科医院に受診することで、症状に応じた適切なケアが受けられます。早期にケアしてもらえば、症状が改善して長持ちさせることも可能です。
また、劣化の原因を教えてもらえたり、今後のケアでアドバイスをもらえる場合もあります。歯科医師のアドバイスを参考に、日々のケアを怠らず長持ちさせましょう。

前歯のインプラントを長持ちさせるポイント

前歯のインプラントを長持ちさせるポイントの画像 前歯のインプラントを長持ちさせるポイントの画像

前歯のインプラントは、以下のポイントを意識することで10年後も持つ確率が高まります。

定期的なメンテナンス

前歯のインプラントを10年後も保つために大切なことは、定期的なメンテナンスです。定期的に歯科医院で検診を受けることで、早期に口腔内のトラブルを発見でき適切な治療が受けられます。

インプラントは、症状が進行しないとトラブルに気づきにくいため歯科医院での早期発見が大切です。定期的にメンテナンスを受けていれば、万が一トラブルが生じた際もインプラントへの影響を最小限に抑えられます。
定期的な通院を面倒に感じる方もいますが、インプラントを長持ちさせるためには歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。

毎日のセルフケア

毎日のセルフケアも大切です。食後は歯を磨いて、菌の繁殖を防ぎましょう。また、歯を磨く際は正しいブラッシング方法で行うことが大切です。汚れが残らないように丁寧にブラッシングをしましょう。

よりきれいな状態を保つために歯間ブラシも活用することで、インプラント周りに食べかすや歯石・歯垢が溜まることを防げます。特に、歯茎とインプラントの間の汚れに注意して丁寧にケアをしましょう。

禁煙

前歯のインプラントがダメになる原因の一つとして、喫煙が挙げられます。喫煙は歯周病のリスクを高めます。喫煙者はインプラント治療を始める前に禁煙しましょう。
禁煙することで、歯周病のリスクを減らしてインプラントを長持ちさせられます。

また、喫煙を続けていると今後の治療の妨げにもなりかねません。適切な治療を受けられるように、インプラント治療の開始に併せて禁煙しましょう。

マウスピース

歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、マウスピースの使用がおすすめです。マウスピースをすることで、歯ぎしりや食いしばりによるインプラントへの負担を軽減できます。
とはいえ、歯ぎしりや食いしばりはお口全体に悪影響を及ぼすため、癖を治さなければ根本的な治療にはなりません。歯科医院を行って歯ぎしりや食いしばりの根本治療も並行して受けましょう。

前歯のインプラントに寿命が来た場合の対処法

前歯のインプラントに寿命が来た場合の対処法の画像 前歯のインプラントに寿命が来た場合の対処法の画像

ここまで説明した通り、前歯のインプラントは10年後を目安に経年劣化するため、遅かれ早かれ寿命がやって来ます。
前歯のインプラントに寿命が来た際は再びインプラントをする他に、ブリッジや入れ歯などの選択肢があります。前歯のインプラントに寿命が来た際の主な対処法を確認しましょう。

インプラント再治療

インプラントが寿命を迎えたら再びインプラント治療をすることで解決します。治療内容が大きく変わることはないため、これまで通りのケアと定期メンテナンスで再度10年以上使用できる可能性があります。

再手術は同じ歯科医院で受けることをおすすめします。以前にインプラント治療を受けた歯科医院であればカルテが残っているためスムーズに進められるでしょう。
また、ずっとお世話になっている歯科医院であれば相談もしやすく、難易度が高い場合はインプラントに特化した専門病院を紹介してもらえるでしょう。

ブリッジ

インプラント以外の選択肢の一つとして「ブリッジ」があります。
ブリッジは、インプラントと同様に固定式の治療法です。失った歯を人工歯で補う点はインプラントと似ています。ブリッジは隣接する他の歯を大きく削る必要がありますが、外科手術は不要となります。

入れ歯

「入れ歯」も治療の選択肢の一つです。入れ歯はインプラントやブリッジと違い、着脱式の装置で、比較的容易に前歯を補うことができます。ブリッジのように他の歯を削る必要が無く、外科手術も不要です。

一方で、前歯に入れ歯をすると、装置が目立ちやすかったり、空気が漏れることで発音しにくいデメリットもあるため、会話や食事に気を使うことがあります。

前歯をインプラントにするメリット

前歯をインプラントにするメリットの画像 前歯をインプラントにするメリットの画像

失ったり欠けたりした歯の治療の選択肢はさまざまですが、前歯にインプラントを入れるメリットとしては以下が挙げられます。

審美性に優れている

インプラント最大の特徴は、審美性(見た目の美しさ)に優れていることです。人工の歯を埋め込むため境界や金具が見えず、天然歯とほとんど同じ構造と見た目で、最も高い審美性を実現します。

見た目が気になると歯を出して笑えなくなることもあり、審美性が高いことは大きなメリットです。天然歯と同じような前歯にしたい方にはインプラントが最適です。

発音に影響が少ない

インプラントは発音に影響を及ぼしにくいこともメリットです。例えば、他の治療法である「入れ歯」は空気が漏れて発音がしにくくなることがあります。

食べ物を噛みやすい

前歯にインプラントをいれることで、食べ物が噛みやすくなるメリットもあります。
インプラントは、人工歯根による高い安定性が特徴です。前歯の咀嚼能力が回復し自分の歯と同様に噛めるようになります。

前歯は咀嚼において特に重要な役割を担っています。これは、前歯が食べ物を噛み切る部位のためです。前歯を入れ歯にした場合は不安定で咀嚼しにくい傾向があります。すでに他の治療をしていて咀嚼に不安がある方は、インプラントへの切り替えも検討してみましょう。

まとめ

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前歯のインプラントは10年後も持つとされています。インプラントは、審美性が高く発音や咀嚼に悪影響を及ぼしにくいなど、さまざまなメリットがある一方で、経年劣化やメンテナンス不足が原因で破損することもあります。

定期メンテナンスをしっかり受けて、日々の適切なケアで前歯のインプラントを10年後も長持ちさせましょう。また、寿命が来てしまった際には、インプラント再治療やブリッジ・入れ歯などの対処法があることも頭に入れておきましょう。

以下ではインプラント治療に対応している全国のおすすめ歯科医院をご紹介しています。歯科医院選びの参考になれば幸いです。

インプラントネットプラス編集部

この記事の執筆者

インプラントネットプラス編集部

インプラントネットプラス編集部は、メディカルネットが運営するインプラントに特化した情報サイト「インプラントネットプラス」で日々配信を行っています。

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